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千葉県市川市の
フォトスタジオ
VISAGE studio 様

千葉県市川市のフォトスタジオ VISAGE studio 様
株式会社ヴィサージュクリエーション
フォトグラファー
瀬能裕太さん

障害があるから撮れない!ではなく、とりあえずやってみる。
いざ撮影してみたら「本当に障害があるの?」と思うほどニコニコと撮りやすいモデルさんでした!

──VISAGE studio(市川) 瀬能裕太さん

誕生日ごとの記念写真や七五三、入園・入学式、みんな一緒の家族写真など、子どもの愛らしい姿をプロの手で撮影してもらいたい!と願うパパママ、おじいちゃん・おばあちゃんは多いもの。たとえわが子・わが孫に知的障害があったとしてもその気持ちは同じです。でも実際は「お店の人に迷惑をかけてしまうかも」「障害のある子を撮影してくれるスタジオなんて見当たらない」とあきらめざるを得なかった方が大半なのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、子どもたちのかわいい瞬間を楽しく撮影してくれるVISAGE studio(千葉県市川市)です。障害の有無にかかわらずその子のペースでじっくりと向き合ってくれるVISAGE studio、ご担当の瀬能裕太さんにお話をうかがいました。

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VISAGE studio:

運営母体は、1990年設立の株式会社ヴィサージュクリエーション。「VISAGE松戸」をはじめ、千葉県内を中心に東京都心や埼玉県などで25店舗の美容院を展開するほか、ネイル、エステ、ブライダル、フォトスタジオ、医療ウィッグ、トリミングサロンなどを幅広く手がけています。立地やお客様のニーズにあわせて「キッズスペース」を設置する店舗も多数ありますが、今回はもう一方先へと踏み出して、「障害のあるお子さんも大歓迎」という取り組みをVISAGE studioでスタートされました。きめ細やかな配慮とともに多様な事業を展開する同社だけに、他店舗への発展も期待できそうな貴重な「第一歩」といえそうです。

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──初めて「知的障害児モデル」のことをお聞きになったとき、率直にどう思われましたか?

「知的障害」というのがどこからどこまでを指すのか、たとえば発達障害やダウン症など、自分自身が知っている程度でしか想像が及ばなくて、具体的にイメージしにくい気がしました。その上でパッと頭に浮かんだのは、「カメラマンとしてちゃんと撮れるかな」ということ。相手のお子さんがどうこうよりも、自分が対応できるのか心配になったというのが正直なところです。

 

──それでも「第一歩」を踏み出してくださいましたね。その背景にはどんなお気持ちがあったのでしょう?

今の時代、SDGsについて考え、行動するのは全世界で必要なことですし、弊社としてもSDGsの全項目を洗い出して取り組もうとしているところです。「カラー剤を流さない」といった細かいことから、「すべてのお客様に平等なサービスをご提供する」という部分まで、できることから実践すべきだと感じていました。

知的障害のあるお子さんを持つ親御さんが、フォトスタジオに対して「利用しにくい」と感じておられる現状があるのなら、ぜひうちでなんとかしたいなと思ったのです。都内のサロンではすでにジェンダーレスなどの取り組みをされている店舗もありますし、障害のある方に対しても、会社として前向きにかかわっていきたいと思っています。

 

──今後、知的障害のあるお子さんを撮影していかれる機会が増えていくと思いますが、具体的な疑問点や不安などはありますか?

最初は、安全面を心配していました。何かのきっかけでケガをさせてしまったり、予想できない行動をされて自分が対応できなかったりしたら、本当に困るなと。でも実際のところ、普段たとえば七五三の撮影をしていると、暴れん坊の元気な男の子とかけっこういて(笑)、撮影の小道具の刀を振り回したり、勢いで着物がぐしゃぐしゃになったりということはよくあるんです。そういう日々の状況と同じように対応すればいいんじゃないかなと気づきました。

結局、いい写真が撮れるかどうかはカメラマンの腕次第なので、お子さんたちにガマンしてもらったり、ムリに笑顔を作ってもらったりという必要もありません。

今回、内木さんからふたりのモデルさんをご紹介いただいて撮影しました。女の子のほうはダウン症、男の子は自閉症と知的障害があるそうですが、2人とも撮影はとてもスムーズでした。最初に「知的障害ってどこからどこまで?」というお話をしましたが、まさに境目がわからなくなるというか。「これって障害なの?」と思うくらいでしたよ。実際、障害の有無に関係なく、ものすごい人見知りさんや、表情が硬くなってしまう子もいますよね。走り回っちゃって、もっと大変なお子さんも多いですから(笑)。

場所や進め方などの安全面が確保できていれば、障害のある・なしは関係なくて、何も問題はないと思いました。

 

──瀬能さんご自身は、これまでに知的障害のある子とかかわったことはありますか?

僕は撮影も担当しますが本来は美容師なので、サロンのお客様の中には障害のある方もいらっしゃいますよ。あとは、レストランや電車などでも、おそらく発達障害の子が騒いでいる場面を見かけることはよくあります。お母さんが周りにすごく気をつかって大変そうにされていることが多いので、「いろんなところに行きづらいだろうな」と思っていたりしました。

そういう意味でも、今回「子どもの写真を撮ってほしい」というお母さんたちの願いに寄り添えるなら、とてもうれしいですね。

 

──障害児の親として、そういうお言葉は素直にうれしいです。弊社のInstagramでVISAGE studioさんのご紹介をしたところ、フォロワーさんからも「今年、次男が七五三なんですが、重度の知的障害があり写真館がなかなか決まりません。こんな素敵なところがあるなんて(泣)。遠くて行けませんが、根気よく探してみます!」というコメントをいただきました。

 

ありがとうございます。励みになります!

サービスを提供する側と障害児の親御さんの相互理解が、まずは必要なんじゃないかなと感じています。たとえば提供する側はそういったニーズが多いことに気づいていないかもしれないし、お母さんたちはそんなサービスを検討している会社があることを知らないかもしれないですよね。カメラマンが「障害がある子の撮影なんて難しそう。できません」と、すぐに扉を閉じちゃうんじゃなくて、「とにかくやってみよう!」とチャレンジしてみること。やってみたらなんとかなります。

 

──本当にそうですね。すばらしい考えを共有してくださってありがとうございます。今回、御社ではまずフォトスタジオでの試みとなりますが、今後は美容院などにも展開していけそうな可能性はありますか?

 

もちろん可能性はあると思います。すでに、美容院でもダウン症のお子さんの髪の毛をカットしたりしていますので。

僕たちにとって重要なのは、すべてのお客様が満足してくださる方法を考えることです。お金を払い、時間を使って来てくださっているのはみなさん同じなので、平等に、すべての方に満足していただく必要があります。障害のあるお子さんや親御さんをお客様としてお迎えする以上やはり十分に満足していただかないといけないし、同時に、「静かな時間」「自分だけの空間」などに価値を求めて来店されるような、他のお客様が何かガマンするような結果になってもいけないと思います。全体のバランスを考えることが大事です。

つまり、「場所」「時間」などを工夫する必要があるんじゃないかなと思います。たとえば個室がある店舗だったら対応しやすいでしょうし、あるいは早朝の時間帯を活用するのもひとつの案だと思います。

 

──たしかに、双方が満足できるやり方というのがありそうですよね。そのためには、先ほどお話ししてくださった「相互理解」が必要になってくるような気がします。今日はすばらしいお話をありがとうございました。ますますのご活躍、応援しております。

 

=== 華ひらく担当・内木美樹より一言 ===

今回、VISAGE studioさんが弊社に所属する知的障害児モデルの撮影をしてくださったきっかけは、私が個人的に長年通っている「VISAGE a.c.t. 本八幡」の担当者に弊社のチラシをお見せしたことです。「こちらのお客様の中に、こういった知的障害児モデルに興味のある方がいらっしゃったら・・・」という気持ちでお見せしたところ、「よかったらうちのスタジオでも」と声をかけていただいたのです。

インタビューに応じてくださった瀬能さんは優しい笑顔と語り口で、大局を見据えながらもきめ細やかな配慮をしてくださる方。子どもたちもきっとリラックスして撮影に臨めるのだろうと想像できます。

「障害児を歓迎する」という試みは、会社規模・店舗規模での取り組みとはいえ、やはり大切なのは現場にいる人の理解です。瀬能さんのお話にもありましたが、障害児の親とサービスを提供する企業・スタッフとがざっくばらんに、互いの状況や要望を語り合える場も必要だなと感じました。

今回のお話では、VISAGEグループ内だけでなく、さまざまなお店で参考になりそうなお話をしていただけたと思います。素敵な活動の第一歩。これからも大注目です。

取材・文/木戸上かおり

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