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日本の総人口は減、障害者の数は年々増

日本の人口は2008年をピークに右肩下がりを続けており、2050年には1億人を切ると言われています。

一方で、障害をお持ちの方の人口は右肩上がりです。2018年の時点で障害をお持ちの方の人数は約1,000万人、つまり、国民の12人に1人は何らかの障害をお持ちなのです。
この数は2010年と比較すると125%増えており、今後も増える事が予想されています。

 

 

外出すらままならない障害者(児)とその家族

 

89%の方が「外出や買い物が困難」と回答

 弊社が102名の障害をお持ちのご本人やそのご家族を対象にアンケート調査を行ったところ、89%の方が「(障害者・児を連れての)外出や買い物は難しいと感じる事がある」
と回答されました。(右図)
そして、「ある」を選ばれた方々の理由が下の図です。

 

歓迎する事で65%が「来店しやすくなる」

 次に、上記の102名の方々にこのような質問をしました。
「以前から気になっていたお店の店頭に『障害をお持ちの方も歓迎』と書かれたポスターが設置されました。来店のしやすさは変わりますか?」
すると、65%の方が「来店しやすくなる」と回答されました。

多くの企業(お店)にとっては、「当たり前の事だからあえて記載する程の事でもない」と思うでしょう。しかし、「お子様連れ歓迎」という張り紙があるだけで小さな子供連れでの来店がしやすくなるのと同じで、「障害をお持ちの方も歓迎」と記載する事で、1歩の踏み出しやすさがだいぶ違うのです。それくらい、障害をお持ちの方やそのご家族はどこに行くにも不安なのです。

 

 

障害者からの好感度は本当に上がるのか?

 

「静かな時間」導入のスーパーに対し、91%が「好印象」と回答

 障害者にやさしい取り組みを始めた企業に対して、障害者側は本当に好印象を抱くのでしょうか?そちらを調べるべく、障害お持ちの方やそのご家族102名に、このような質問をしてみました。

あなたの家から通える範囲内に、新しいスーパーができました。そのスーパーは毎週土曜日の朝9時~10時の1時間、聴覚や視覚に過敏な方でも買い物ができるように、店内の証明を暗くし、BGMやレジの音、店内アナウンスのボリュームを下げ、台車も極力使わない「静かな時間」を設けています。そのスーパーへの印象は?

その結果が右の図です。

 

「好印象」を選んだ91%の内、95%が「行ってみたい」

 続いて、上記で「好印象」を選んだ91%の方の購買意欲も調べるためにこのような質問も行いました。

そこのスーパーに行ってみたいと思いますか?(スーパーは行ける範囲内にあります)

その結果が右の図です。

 

 

 

 

 

 

健常者からの好感度は本当に上がるのか?

 

「静かな時間」導入のスーパーに対し、94%が「好印象」と回答

 仮に障害者からの好感度が上がったとしても、健常者からの好感度が下がったり、健常の利用者が離れるのであれば、導入は難しいですよね。そこで弊社は、112名の健常者を対象に、このような質問を行いました。

あなたがいつも利用しているスーパーが、「静かな時間」を導入しました。「静かな時間」とは、聴覚や視覚に過敏な方でも買い物ができるように、毎週土曜日の朝9時~10時の1時間、店内の証明を暗くし、BGMやレジの音、店内アナウンスのボリュームを下げ、台車も極力使わない静かで暗い時間です。そのスーパーへの印象は?

その結果が右の図です。

 

「好印象」を選んだ95%の内、98%が「引き続き利用したい」

 とは言え、仮に好印象であったとしても、今後も継続して利用してもらわなければ意味がありません。ですので、好印象と回答した95%の方に、このように質問しました。

そこのスーパーは引き続き利用したいと思いますか?

その結果が右の図です。

 

 

 

障害者支援はクレームになる?

 

クレームになる障害者支援とならない障害者支援

多くの企業が障害者支援を大々的に行う事を躊躇する理由…それは、クレームです。「障害者を使って売上や好感度を上げようとするな」というクレームが、健常者や障害者からくる事を非常に恐れています。では、どのような支援ならクレームになり、どのような支援なら好感度に繋がるのでしょうか?

こちらを調べるために、障害をお持ちの方とそのご家族の計102名と健常者112名に対し、「企業が障害者にやさしい取り組みを行う上で、大切だと思う事は何ですか?」という記述式の質問をしました。すると数多くいただいた回答の内、上位5つに大差はない事がわかりました。

理解しようとする姿勢…障害や障害者の気持ちを分かろうとする思いやり・優しさ
知識の習得…障害に関する知識を研修等で学ぶ
継続性…年に1回のイベントではなく、毎週・毎月のように継続した活動
世間への周知…障害者支援を始める事を、健常者・障害者含めた世間に周知する事
社員の理解…トップダウンで半強制的に進めるのではなく、現場の従業員が主旨を理解した上で進める事

 

クレームにならない障害者支援の方法(手順)

上記の調査から、このような手順で障害をお持ちの方への配慮を進めていけば、クレームをより防げることがわかりました。
今後貴社が障害者にもやさしい企業になる為の準備を始められる際、参考がてらお使いください。