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12/3からはじまる障害者週間に向けて、743人に「障害への認識」に関する調査を実施しました

はじめに

障害のあるキッズモデルのマネージメントをしております、華ひらくの内木美樹です。

12月3日からはじまる障害者週間に向けて、弊社では障害当事者(もしくは同居家族に障害者がいる方) 165名と、特に制限を設けない一般社会の578名に障害に関する同様の質問をし、障害への認識にどれだけの差が生じているのかをインターネット上で調べました。(調査期間:2022/10/23~2022/11/20)

 

障害者はどれほど身近な存在なのか?

一般社会への質問

Q. 「あなたの身近に、障害をお持ちの方はいますか? 」

まずは、一般社会にとって障害者がどれだけ身近な存在かを調べるために、「あなたの身近に、障害をお持ちの方はいますか? 」と質問しました。すると、81%の方が「身近に障害者がいる」「いると思う」と回答し、弊社が予想していたよりも遥かに多くの方にとって、障害者が身近な存在であることがわかりました。

障害者側への質問

Q. 「日本社会にとって、障害者は身近な存在だと思いますか?

そこで、障害者側の意識も確かめるために、「日本社会にとって、障害者は身近な存在だと思いますか?」と質問しました。すると、「あまりそうは思わない」と「まったくそう思わない」が66%を占め、2/3以上の方が「日本社会にとって、障害者は身近な存在ではない」と回答しました。

 

身体障害について

しかし、障害といえども身体障害、知的障害、精神障害、発達障害と種類があります。そこで次の質問では、各障害への知識・理解度を測るためにこのように質問しました。

一般社会への質問

Q. 身体障害には視覚障害、聴覚・平衡機能障害、肢体不自由などがありますが、あなたは身体障害について知っていますか。

障害者側への質問

※ ご自身、もしくは同居家族が身体障害をお持ちの方のみ回答。

Q. 身体障害には視覚障害、聴覚・平衡機能障害、肢体不自由などがありますが、日本社会は身体障害について知っていると思いますか?(回答数:51)

 

Q. 日本社会は、身体に障害のある方が本当に必要としている配慮を理解していると思いますか?(回答数:51)

Q. 理解されていないと思う理由は?

  • 障がい者駐車場の配慮のなさ。横が広くても意味がない。後ろのスペースが必要。
  • 発達障害に対しての預かりサービスは多いのに、肢体不自由のサービスは少ない。
  • 道がせまい。段差がある。他人事としてあまり理解しようとしない。島国気質で隠したがる気がする。
  • 必ずしもいつもヘルプして欲しい訳ではありません。困った時に助けあえる社会だと嬉しく思いますが、現実は見て見ぬふりだったり、無視されたりという状況があるかと思えば、そこまでしてくれなくてもというくらい手を貸して下さる方もいらっしゃる。難しいですね。
  • 公共施設など、作りが障害者向けじゃない。階段ばかり、トイレは端にあったり、道もせまかったり、信号なんて、歩行者用はすぐ赤になったり、子連れでも沢山困る事が多い。

 

精神障害について

一般社会への質問

Q. 精神障害には統合失調症、気分障害、てんかん、高次脳機能障害などがありますが、あなたは精神障害について知っていますか。

障害者側への質問

※ ご自身、もしくは同居家族が精神障害をお持ちの方のみ回答。

Q. 精神障害には統合失調症、気分障害、てんかん、高次脳機能障害などがありますが、 日本社会は精神障害について知っていると思いますか?(回答数:46)

Q. 日本社会は、精神に障害のある方が本当に必要としている配慮を理解していると思いますか?(回答数:45)

Q. 理解されていないと思う理由は?

  • 隔離すべきという論調が強い
  • 精神障害は気持ちの問題、と思っている方が多い
  • 病気のせいにするなという人が一定数いる
  • 頑張ればできる、怠けているだけ、と思われがちだと思う
  • 病気や身体障害とは違って目に見えず、数値でも表せないものが多いので伝わりにくく、「それくらいの大変さならみんな持っている」と言われてしまう

 

知的障害について

一般社会への質問

Q. あなたは知的障害について知っていますか。

障害者側への質問

※ ご自身、もしくは同居家族が知的障害をお持ちの方のみ回答。

Q. 日本社会は知的障害について知っていると思いますか?(回答数:134)

Q. 日本社会は、知的に障害のある方が本当に必要としている配慮を理解していると思いますか?(回答数:134)

Q. 理解されていないと思う理由は?

  • 知る機会がないから。見てはいけないものだとするから。
  • 知的障害のレベルがそれぞれの障がい者で異なること、知的障がい者への配慮が目に見えてわかるハードウェア及びソフトウェアの整備には結びつきにくいと考えるから。
  • 知的障害には軽度から最重度まであり、仕事に就くことのできる方もいることを多くの人が理解していないように感じるから。
  • 知的障害=暴力的的なイメージを持っていると思う。
  • 身近に存在しないから。または触れ合う機会が少ないから。
  • 障害=身体的と思っている人が多い気がする。
  • 日本社会で普通に暮らし、教育を受け、仕事をしているだけでは得ることのできない知識だから。
  • 怖い、何も出来ない、可哀想等のイメージがあり、福祉の場以外で理解されている実感がない。
  • 公共の場では見て見ぬふりの風潮が当たり前になっていると感じるから。
  • 障害者と幼少期の教育の場から分けられてしまう為、必然的に知識、理解する機会がない。
  • 学校の先生ですら知識も経験もない人が多い。

 

発達障害について

一般社会への質問

Q. 発達障害には学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症などがありますが、あなたは発達障害について知っていますか。

障害者側への質問

※ ご自身、もしくは同居家族が発達障害をお持ちの方のみ回答。

Q. 発達障害には学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症などがありますが、 日本社会は発達障害について知っていると思いますか?(回答数:146)

Q. 日本社会は、発達に障害のある方が本当に必要としている配慮を理解していると思いますか?

Q. 理解されていないと思う理由は?

  • 発達障害は見た目ではわからず、ただのわがままな子と捉えられてしまうから。
  • 教員ですら大学で勉強されるようになったのがここ10年ほどで、発達障害を「甘え」のように捉える先生もいまだにいるから。
  • 言葉だけが先行していて、どんなことに配慮が必要か、保育士や教員の知識でさえ足りていないと思う。
  • 自分と違う=変な人という差別意識が強いと思うから。
  • なんでも一緒にやらせようとする。
  • 学校ではなにかと、大人の言うことをよく聞くことが出来る子がよしとされるから。
  • 軽度の障がいだとワガママとしか見られていないから。
  • 地域の公立支援級の担任が全体的に勉強不足だから。
  • 配慮を求めても努力を美徳とされている傾向があり、甘えではないかと言われる事が多いから。
  • 発達障害について学ぶ機会がないから。

 

むすび

この度の調査を行い、まず分かったことは、7割以上の一般社会は障害を「知っている」と思っている一方、7割以上の障害当事者側は障害は「まだ知られていない」と考えているという、真逆の現象が起こっているという事でした。

恐らく、両者が考える「知っている」のレベルは、大きく異なります。

一般社会が言う「知っている」は知識の事を述べている一方、障害当事者側の「知られている」には、「配慮の仕方が知られている。(もっというと、配慮もされている。)」までが含まれると推察します。

とは言え何にせよ、一般社会側がすでに「知っている」と思っているという事は、「もう知る必要がない」と潜在的に意識をしてしまっている可能性もあります。

これは障害に限らずすべての事に共通しますが、当事者にならない限り、「知る」のレベルを超えるのはほぼ不可能です。

ガンになった人でなければ、ガンを患った時の不安、恐怖、孤独はわかりません。それと同じです。

ですので、当事者ではない方が「知っている」と認識しているという事実は、今後の障害者支援のハードルになりかねないと思います。

では、どうすれば障害をお持ちの方へ正しい配慮ができるようになるのか。

個人レベルで大切なのは、まずは「吾輩は無知である」と認識することではないでしょうか。

いわゆる、ソクラテスの「無知の知」です。

そのような意識があれば「すでに知っている」とはならず、当事者側とのズレも生じず、最終的には配慮の仕方まで学べる機会へとたどり着けます。

一方で、組織レベルで考えると、教育のあり方を変えていくことが喫緊の課題だと考えます。

例えば、小学校でも支援学級がない学校はまだ多くあります。

障害をお持ちの方との接点や障害を学ぶ場がなければ、知識も理解も配慮も進むはずがありません。

どんなに泳ぎ方のDVDを見ても、実際に水の中に入って泳いでみないと泳げるようにならないのと同じで、障害のある方々と同じ空間にいる機会がなければ、学べるものも学べません。

年に1回のようなイベントではなく、幼いころから支援級や支援学校との交流が毎週・毎月ある。

障害をお持ちの方が身近にいる。

そのような環境を作ることができれば、障害者もいるのが当たり前の社会をつくれ、配慮の仕方も広まってくるのではないでしょうか。

障害があっても堂々と生きられる社会を
一緒につくりませんか?

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